2014年10月22日水曜日

おんなのうた

浪人時代、私の地元には
大きな予備校がなかったので
福岡まででて、専用の寮に入りながら
予備校に通いました。

一年間一度も
家に帰ることなく
本当に小さい世界でもくもくと
勉強をしました。


癒しは仲良しの友達と
近所のとっても新鮮な野菜と魚を
つかった料理をだしてくれる定食屋さんに
寮のごはんをすっぽかして
ご飯をたべにいくこと
早朝に
寮の玄関が開くとともに
二人で
朝マックに行ったこともありました。

何の話を
していたのでしょう
あまりよく思い出せないけれど
いつも笑っていたような気がします。


たった一年間に
驚くくらいの思い出があります。

りっちゃんといった、愛人募集しているおじさんのオムライス屋さんのはなしなんて
とてもお気に入りです。


そう、もう一つの大きな癒しは
歩いて30分くらいのところにあった
大きな本屋さん。
浪人すると決めて
実家から
三冊しか本を持ってきていなかったのですが
どれも20回ずつほどよんだところで
限界がきてしまいました。

本屋さんには幸運なことに
窓際にすこしだけ
座れる場所があったので
授業の休み時間を見つけては
通って本を読みました。

もちろん浪人生なので
今よりペースはぐんと
低いし
倫理政経を選択していたので
哲学者の本や
受験科目にもある
物理の本、ないけど生物の本
数学の本

でも一番のブームは
短歌でした。

短い文にそのぶん
詰められた一瞬の心の動きや
ハッとする風景に
うっとりしてしまいました。



たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか

河野裕子さんという方の歌です
夫である永田和宏さんが、
二人の出会いから、裕子さんが乳がんで亡くなるまで
作り続けた歌を
エッセイとともに紹介しています。



何年もかかりて死ぬのがきつといいあなたのご飯と歌だけ作つて

これは病床での歌。




手をのべてあなたとあなたに触れたときに息が足りないこの世の息が



これは亡くなる前日の歌。



是非読んでほしいです。
短歌もエッセイも
とても小気味よい。


河野さんの情熱的な歌は
与謝野晶子を思い出します。

女の人が誰かを愛しているときの歌って
荒々しいくらいに強く求めていて
でもとても壊れてしまいそうだなと
思います。
つま先で立っているよう



とてもドキドキします


おやすみなさい

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